Bit Digital 動画インタビュー:歴史は繰り返さないが、韻を踏む

インタビュアー: 海燕
執筆: 新酒
メディア: Bit Digital
日付: 2019年4月26日
ArcBlock 創業者兼 CEO の Robert Mao は4月17日、Tianji Media 傘下のブロックチェーン動画メディア「Bit Digital」のインタビューに応じました。動画と全文を以下に掲載します。
「どのパブリックチェーンも、将来は自分たちのチェーン一本ですべてを解決できると考えています。しかし、それでは異なるパブリックチェーンの孤島が数多く生まれ、どのチェーンも世界の問題を解決できないことになります。パブリックチェーン思考は論理的な矛盾であり、チェーンネットワーク思考こそが世界の成り立ちに即しているのです」
今回のゲスト:Robert Mao(通称 Lao Mao)。ArcBlock 創業者兼 CEO、連続起業家、技術イノベーターであり、米国政府から「卓越した能力を持つ人物」と認定されています。その起業経験は TechCrunch、CNN、USA Today など米国の主要メディアで取り上げられました。Bitcoin が誕生した2009年から暗号通貨に触れ、2013年にブロックチェーン技術への注目と研究を開始。米国の主要な起業イベントに何度も招かれ、ブロックチェーンについて講演してきました。2017年に米国で ArcBlock を創業し、2018年には世界で最も注目されるブロックチェーン・スタートアップの一つとなりました。同年7月には、人民網傘下の People Venture Capital と ChainNews が共同選出する「2018 Blockchain Star」を受賞しました。
初対面の人は決まって、なぜ「Lao Mao」という名前で活動しているのかと尋ねます。Robert Mao はユーモアを交えて、実は若い頃に自分で付けた ID だと説明します。当時は今ほど起業環境が整っておらず、若者への偏見もあったため、少し年長に見せようと、呼びやすく覚えやすい「Lao Mao」という ID を選んだのです。

パブリックチェーンは矛盾、チェーンネットワークこそ必然
ArcBlock は、分散型アプリケーション(DApps)の開発とデプロイのために設計された世界初のクラウドコンピューティング・プラットフォーム兼 Blockchain 3.0 エコシステムです。さまざまな業界の既存システムやサービスをブロックチェーンへシームレスにつなぎ、既存の業務データ、ユーザー、プロセスにブロックチェーン技術の力を生かすことで、ブロックチェーンを「概念」から実用へと移行させます。
ArcBlock が重点的に取り組むのは「チェーンネットワーク」です。未来には数多くの異なるブロックチェーンが共存し、互いにつながって、ネットワークのようなチェーン網を形成します。Robert Mao はこれを「チェーンを織り、ネットワークにする」と表現しています。
Robert Mao は2年前から「チェーンを織り、ネットワークにする」ことが大きな方向性になると気付いていましたが、当時はまったく歓迎されませんでした。ブロックチェーンや暗号資産の業界ではパブリックチェーンばかりが語られ、この考えを理解する人はいなかったのです。しかし今では状況が次第に明確になり、チェーンネットワークの発想は業界でますます認められています。来年には一般的な概念となり、ブロックチェーンといえば単独の一本ではなく、そのネットワークを思い浮かべるようになるかもしれません。
「チェーンを織り、ネットワークにする」とは、多数のチェーンをつなぐことです。チェーンネットワークを手がける各社の技術は異なっていても、互いを排除するものではありません。逆に、これこそパブリックチェーンの構築が難しい理由でもあります。どのパブリックチェーンも、将来は自分たちのチェーン一本ですべてを解決できると考えています。しかし、それでは異なるパブリックチェーンの孤島が数多く生まれ、どのチェーンも世界の問題を解決できないことになります。パブリックチェーン思考は論理的な矛盾であり、チェーンネットワーク思考こそが世界の成り立ちに即しているのです。

Robert Mao のチームはブロックチェーン開発において、技術の価値を「実感できること」を重視しています。エンドユーザーにも開発者にも、それがどのような新しい価値や利便性をもたらすのかを感じてもらいたいと考えています。実感して初めて、ブロックチェーン技術が本当に生活を変えられると理解できるからです。
現在、チームの努力により、多くのパートナーが ArcBlock プラットフォーム上で開発を進めています。数か月後、開発者が製品を一般公開すれば、ArcBlock はブロックチェーンに対する業界全体の認識を一変させる可能性があります。ブロックチェーンでは実用的なアプリケーションを数多く構築でき、しかも従来のインターネット・アプリケーションより優れ、便利にできるのです。

歴史を創る人
「偶然のように起業を始め、やがて自分にはトレンドになりそうなものを見つける才能があると分かり、それが次第に自信へ変わりました。なぜそう感じるようになったのか、自分でも分かりません。言葉にできる理由はないのかもしれませんが、起業を何度か経験すれば、自然と素早く判断する力が身に付きます」
Robert Mao はこれまでの起業経験を振り返ります。「私はインターネット黎明期から、バブル、衰退、再成長まで、その完全なサイクルを経験しました。ブロックチェーンに出会ったとき、インターネット初期と非常によく似た状態だと感じました。だから、この機会は私たちの世代全体にとって極めて重要なのです」

各地を渡り歩いてきた Robert Mao は、どの都市でも魅力をすぐに見つけ、国や地域ごとのビジネス環境にも独自の見解を持っています。「中国の環境は全体として活力をとても重視し、起業の世界では皆が非常に勤勉です。取り組むことで達成感を得られるからです。その意味では中国が一番、次が米国で、欧州はのんびりしすぎています」
最大の市場が中国と米国であることは間違いありません。ただし米国では、技術の導入に際して発展の秩序づくりや法整備がやや遅く、継続的に発展していく傾向があります。中国はより爆発力があり、初期には混乱や無秩序を招くこともありますが、方向性が定まれば実行力は非常に強力です。Robert Mao は、両者の長所を組み合わせれば競争から抜け出し、厳しい淘汰を乗り越えられると考えています。
起業から得た最大のものについて、Robert Mao はこう語ります。「最高のチームと最先端の仕事に取り組む機会が常にあります。その過程は実に素晴らしいものです。多くの困難に直面しますが、何より、その過程を経験すること自体が最大の収穫です。さらに富や経験を得ることもでき、それらには目に見えない価値があります。私に言わせれば、起業は皆が思うほど難しくありません」

ブロックチェーンについて Robert Mao は、その核心は「公開され、検証できること」であり、これによって信頼を築きやすくなると指摘します。信頼が「創造」されるという意味ではなく、信頼にかかるコストが大幅に下がるということです。信頼のコストを下げられるものには、非常に幅広い用途があります。例えばインターネットは、初期には通信網上の付加価値データサービスにすぎませんでしたが、現在では通信網よりはるかに大きく、重要なネットワークになっています。

同じように、現在のブロックチェーンはインターネット上の小さな付加価値アプリケーションにすぎないと見ることもできます。しかし将来、ブロックチェーンのチェーンネットワークはインターネットより大きなネットワークになるかもしれません。
歴史は未来です。
